複葉機(主翼が2枚ある飛行機)の組み立てで一番やっかいなのが、各翼を正確に取りつけることですね。ところが飛行機ってぜんぶがまっすぐや左右対称には作られていないようなのです。主翼は通常、進行方向に上を向いているものと思い込んでいましたら、陸軍赤とんぼは画像のように調整されているのです。(赤とんぼは練習機なので、生徒が失速を起こしにくくするための配慮でしょうか)
キットの説明書で指示のない箇所には接着剤をつけずはめ込みだけで組み上げて、接着指示のところに瞬間接着剤を少量流し込むと、自然に画像のような角度を得られるように設計しました。翼は上翼と一体の支柱で胴体に取り付けますから、まずは胴体がゆがみなく組み上げられていることが大事です。ツメをはめるところで、はまっていないまま組み上げてしまうなどしなければまずうまくいきます。
こちらは上反角と呼ばれる傾きです。機体の横方向の安定性を高めるための設計です。戦闘機ではまったく角度のないものもありますね。安定性を捨てて、機動性を優先したものでしょう。これも、キットを素直に組んでいただければ、自然にこのように角度がつきます。小さい模型ですから、わかりやすいように上翼は1°より大きくアレンジしましたが(ないしょ)。
こちらも作っていて、あれ?ってなりますね。飛行機が左右対称でない理由は、機首のエンジンに回転方向があるからです。陸軍赤とんぼのエンジン(プロペラ)の回転方向はパイロットから見て時計回りです。プロペラ後流というねじれた風が、尾翼の左側に当たることになり、結果、飛行機は左に向かって進むことになるそうです。それを打ち消すために、垂直尾翼をあらかじめ左向きに取り付けておきます。陸軍赤とんぼでは2.3°左に曲げられています。別の方法として、機体をまっすぐに作って、エンジンを右向きに取り付けるやり方もあります。海軍赤とんぼ93式がそうです。ラジコン機をやっている方ならおなじみの手法ですね。
水平尾翼(水平安定板)の角度は、飛行中に操縦席から変えられます。教官が乗る前席にも、生徒の後席にも、角度調整ハンドルがついています。機体前方の燃料タンクが軽くなると、機首が上を向いてしまいます。バランスをとるために水平尾翼を上げます(迎角を大きくする)。どうもそのときだけでなく、高度を保ちながら速度を上げるときもハンドルで調整しているのではないかと思います。速度を上げていくと、ただまっすぐに速く進むのではなく、高度が上がってしまいますので。キットでは、角度調整のためのギヤも再現しています。
車輪は地面に対してまっすぐにはついていません。飛行時は画像のような角度がついています。着陸時はぐっと角度が少なくなり、静止時は約3°です。(画像よりもまっすぐに近くなります) キットでは車輪軸を曲げてお好みの角度に仕上げられます。
1/48 赤とんぼ、先行販売分はあとわずかです。